夏の味噌作り

 味噌作りの季節と言えば、冬から春にかけてで、夏は敬遠されがちです。理由は、夏は雑菌が繁殖しやすいのと、気温が最初から高いので発酵が急に始まり、長期熟成の理想的な温度経過にならないというものです。

 しかし!味噌は塩分があるので、塩分と水分を適切に仕込めば、夏に仕込んでも雑菌の繁殖は抑えられます。また長期熟成には向かない温度経過であっても、短期熟成にはむしろ向いていると言えます。

 夏に味噌を仕込むメリットとしては、発酵が早く始まるので、2か月ぐらいするともう食べられるぐらい麹や味噌自体が柔らかくなります。また、短期熟成ならではの麹の甘みが主体のあっさりした味噌に仕上がります。夏に仕込んだ短期熟成のものと冬・春に仕込んだ長期熟成のものを食べ比べるのも一興かと。

 (*補足:味噌の発酵は、麹の酵素による酵素分解と、酵母によるアルコール発酵が並行して行われていきます。ただ、原理的には先に酵素分解によって炭水化物から糖が生まれ、その糖を使ってアルコール発酵が進みます。短期熟成は、麹の酵素による酵素分解が進み、発酵が短い期間しか行われないので、割とまだ糖が残っている、すなわち麹由来の甘みが主体の味になるというわけです。)